DRIVE CHARTとは
2025.07.30
『DRIVE CHART』のAIは進化し続ける。リスク運転の検知精度が継続的に改善される仕組みを解説

『DRIVE CHART』では、AIが運転中の映像や各種センサーのデータを解析し、事故につながりかねないリスク運転を精度99%以上で検知します。精度が高いからこそ検知結果を信頼して運転者の意識改革に活用できます。検知精度を高めてより安心・信頼して使用いただけるように、継続してAIの改良を行っています。今回は『DRIVE CHART』のAIの改良プロセスについて解説します。
AIの精度を完璧に近づけるために必要な学習データ量とは
『DRIVE CHART』のAIは、リスク運転として検知すべきイベントかどうか、膨大なデータをもとに学習を繰り返してきており、これらのイベントを精度高く解析することができます。検知精度99%以上、つまりリスク運転として検知されたイベントのうち誤って検知されたものは1%以下です。
一般的には、AIの精度は学習するデータの量を多くするほど高められることが知られています。AIでの検知が簡単なケースでは少量のデータの学習でも高い検知精度を実現できますが、AIでの検知が難しいケースでは検知精度を高めるためには大量のデータで学習する必要があります。検知が難しいケースは、発生頻度が少なく、またバリエーションが多いことから、精度改善の難易度が高いと言われています。
たとえば、脇見運転の検知ではメガネ着用時が難しいケースになります。メガネのレンズでの反射があるときやメガネのフレームが目に重なるように映るとき、視線の判断が特に難しくなります。このような様々なケースの学習データを地道に集める必要があります。
『DRIVE CHART』では、1つ1つの誤検知のケースに対して地道にデータを集めて検知精度の改善を行っています。
『DRIVE CHART』のAI改良プロセス
『DRIVE CHART』には、AIが検知したリスク運転が間違ったものであった場合に報告して取り消すことができる誤判定申請という仕組みがあります。この誤判定申請を通じて、AIエンジニアが誤検知の実態を把握し、AIを改良する計画を立てています。誤検知が多いパターンを分析して、優先的に改善すべき誤検知のケースを抽出しています。
そして、AIに学習させるデータを収集します。走行データ(動画・センサーデータ)を取得し、人による判断結果の情報を付与して学習データを作成しています。このプロセスは時間がかかる工程で、判断が難しいケースでは特に時間がかかります。
学習データの準備ができたらAIの学習を行い、狙ったパターンの誤検知が十分に改善したかを検証します。ここで十分に改善していないと判断した場合は、再度、学習データの収集に戻ることがあります。十分に改善されるまで、これを繰り返します。
検知精度の評価以外にも、検知傾向の変化が問題ないことを確認するなど、様々な検証工程を経たのちに、AIがアップデートされます。
急後退、脇見運転の例
急後退検知は、2024年10月にアップデートを行いました。本アップデートでは、学習データの増強を行い、検知精度を改善しています。
急後退検知では、外カメラの映像から前進・停止・後退の走行状態を判定しています。
アップデート前は、後退走行時の映像に対して走行状態の判定が不安定となることがありました。他には以下のシーンでの走行状態の判定をやや苦手としていました。
● 夜間
● 雨天
そこで、重点的に後退走行シーンのデータを収集しつつ、夜間・雨天のシーンのバランスを改良して、AIに学習させました。
脇見運転検知は、2024年11月にアップデートを行いました。このアップデートでも、学習データの増強を行い、検知精度が改善しています。
脇見運転検知では、運転者の顔の動きを中心に判断するため、以下のような様々なケースをカバーする必要があります。
● 時間帯による明るさ
● カメラの角度
● 運転者の顔つき
● メガネ、マスクの着用
AIに学習させるデータを、これらのケースがバランス良く含まれるように増やしつつ、誤検知が多いケースも加えています。さらに、単にデータを増やすだけでなく、元々の学習データを見直して、学習データの質を高めることも併せて実施しています。
『DRIVE CHART』のAIのこれから
『DRIVE CHART』のAIは、世界的に認められた実績豊富なAIエンジニア※が開発しています。また、『DRIVE CHART』を導入された企業様が増えていることに伴い、AIの学習の元となる走行データが年々増えています。
このように『DRIVE CHART』はAIの精度を改善し続けられる条件が揃っています。より安心・信頼して『DRIVE CHART』を使用していただけるように今後も継続して検知精度の改善を進めていきます。
※『DRIVE CHART』の開発に携わるAIエンジニアには、世界的なAIデータ分析コンテスト「Kaggle(カグル)」の成績上位者が多数所属しています。Kaggleではコンテストで良い成績を修めた参加者に称号が与えられますが、上位称号である「Master」、「Grandmaster」を6名のAIエンジニアが保持しています。実力がお墨付きのAIエンジニアが『DRIVE CHART』のAIの開発を行っています。