導入事例
2024.10.31
エームサービス、「褒める文化」の定着がもたらした事故削減――『DRIVE CHART』導入1年でリスク運転「8割減」、運行記録の自動化でドライバーも楽に
オフィス、工場、学校から病院・福祉施設、スタジアム・トレーニング施設まで、全国約3,500か所でフードサービスを提供するエームサービス。2009年からは「MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島」の飲食サービスのすべてを担う、「食サービスの包括運営」という新たなビジネスモデルにもチャレンジしています。
「『食』から日本の未来を支えます。」というコーポレートスローガンのとおり、各地で1日140万食を提供しており、自然災害などが発生した際も拠点間で連携し「食材供給」を確保。特に安全・安心な食の供給が求められる病院・高齢者施設など、365日運営する施設においても、全国のネットワークを活かし非常時供給体制(BCP)を有しています。
そうした物流ネットワークに欠かせないのが車両。食材や飲料の配送用はもちろん、全国約3,500か所の「現場」に向かうため、多くの社員が社用車を使用します。事故から社員を「守る」体制を強化するため、現在では『DRIVE CHART』を常時360台以上で運用しています。
なぜ導入を決めたのか、どのように運用し、どのような効果が出ているのか。本部として安全管理の目線を総務厚生室の日下 恵二さん、総務法務部の江口 昌信さんに、現場での運用目線をRS事業本部の小平 亮さんにお伺いしました。(RS事業本部:Refreshment Services。ウォーターサーバー、給茶機、ネスプレッソなど、オフィスのリフレッシュメントに関する総合サービス)
会社名 エームサービス株式会社
業種 フード及びサポートサービス、飲料サービス・ケータリング、清掃、施設管理などのトータルサービス
保有車両数 約420台
導入時期 2023年7月
導入理由 事故から社員を「守る」体制を強化するため、業務効率化・ペーパーレス化
『DRIVE CHART』を導入した決め手は
――『DRIVE CHART』を導入する前はどのように安全管理・車両管理を運用されていたのでしょう?
江口様:本社に来る前はまさに現場の管理をしており、実際に社用車にも乗っていたのですが、とにかく思っていたのは「手間がかかる」ということ。例えばドライバーは運行記録などを手書きで行って、それを提出して。管理者はその紙を確認したり、記入方法を説明したり、データをまとめたり…と、アナログな工数がかかってしまって。
さらに、当時はテレマティクスこそ全車両に導入し長時間運転や速度超過のモニタリングは行っていましたが、ドライブレコーダーの設置も一部事業所に留まっていました。そうした中で、事故のリスクを減らすため、運転トラブルから社員を守るために、運転の可視化、記録が自動で残っていくようなものは無いだろうかと考えるに至りました。
――そこで『DRIVE CHART』をご導入いただいたわけですが、並行して他社も検討された中で、何が決め手になりましたか?
江口様:まずはリスク運転の可視化というニーズに一番マッチしていたことです。他社のサービスでは検出できない多くのリスク運転項目があり、またドライバー別のスコアやサマリーメールを通じて簡単に「リスク運転の可視化」が進みそうという点が大きかったです。そしてアルコールチェックも義務化されるタイミングでしたので、検知器と連携して一元管理できるという部分でも『DRIVE CHART』の仕組みが一番でした。
また、ご提案いただいた内容も最も良かったです。導入を機に、全ドライバーへ広く深く「安全運転」の意識強化を進めて、事故から社員を「守る」体制を強化するビジョンが明確に見えました。そこでまずは2台でトライアルを実施し、ほぼすべての社用車への導入を決定し、3段階に分けて取付を行いました。従来のテレマティクスでは確認できなかったリスク運転が「可視化」できるようになったと実感しています。
導入後すぐ「DRIVE CHART通信」を創刊し、ポジティブな発信を開始
――導入当初、いちばん最初に思われたことは…?
江口様:やはり個人の「運転のクセ」がよく把握できるようになったなと実感しました。ただ、社用車の中はプライベート空間であるという認識も強かったので、最初は若干、車内にカメラが入ることへの抵抗感もありました。
そこで『DRIVE CHART』のカスタマーサクセスの担当者から色々とアドバイスをいただいて、当たり前にみんなが安全運転するような文化を醸成するために「優良運転者」をしっかりクローズアップして社内に周知していこうと。そこで「社員の安全を守り隊」からの定期レターとして「DRIVE CHART通信」を定期的に発信するようになりました。
――「DRIVE CHART通信 Vol.3」には小平さんが登場されていましたね。
小平様:RS事業本部では独自で「交通安全委員長」を選任していまして、月に1回Teamsで各拠点との「交通安全会議」を行っています。そうした取り組みや、『DRIVE CHART』でリスク運転が出たときの声掛け方法、「優秀ドライバーの褒め方」などを「DRIVE CHART通信」で社内に周知してもらいました。
江口様:創刊は10月からで、導入後すぐに始めています。とにかくポジティブな取り組みであると認知してもらいたかったので、「安全運転のヒント」や、スコアの高い「優秀ドライバーランキング」をお知らせで発信するなど、良い内容を多く取り上げるようにしています。日ごろからの安全運転の重要性を啓蒙していけるツールになるんじゃないかなと。
実際に、優秀ドライバーとして出ると「モチベーションにつながる」という声も挙がっています。今までは社内にたくさんいるはずの優秀ドライバーを判別する方法がなかった。それが『DRIVE CHART』導入によって、事故ゼロ・リスク運転ゼロの社員を個別に「褒める」ことができるようになったのは大きいですね。
日下様:会社としては業務で社用車を運転してもらっているので、安全運転をして事故も違反もしないということは「業務改善」をしているということ。非常に素晴らしいことなのですが、過去あまりそちらをピックアップできていなかったので、『DRIVE CHART』の仕組みは活用できるなと。
ヒヤリハットの“前の段階”として「リスク運転」を把握でき、効果を実感
――さらに運用が進んでいく中で、分かったことはありましたか?
江口様:我々が特に見ているポイントとしては「脇見」「車間距離」。事故に繋がってしまいやすいリスク運転として、そうした検知の多い社員はマークしています。半年、1年経ってくると、リスク運転が検出される社員も徐々に偏ってきますね。あと、全国に拠点があるので、地域差があるのも分かりました。
まだ導入して1年なので様子見のところもあり、声掛けの基準やルールを設けることはしていません。ただ、指導をする際は必ず動画を見ながらやってほしいとお願いしています。データはモニタリングしているので、担当から言って聞かない場合は上のレイヤーから言ってもらったり、直接私から指導したりと臨機応変に行っています。
小平様:現場でも『DRIVE CHART』のおかげで効果的な声掛けができるようになりました。リスク運転は本人の運転の感覚とのズレがあることが多いんですが、動画があればドライバー自身の運転を一緒に見ながらきちんと基準も説明できるので、解決のしやすさも含めて大きいです。あとは動画を本人に見せると「映っている」と伝わるようで、大体の人が気を付けるようになりますね。
日下様:「褒める」ことと「指導」すること、事故の削減にはどちらも重要だとは思うのですが、「褒める文化」つくっていきたいという想いが強いですね。「DRIVE CHART通信」では事業部別ランキングを出すこともあるんですが、「褒める」部分では事業部単位で「上がった」「下がった」という所がモチベーションに繋がっている部分もあるようです。
――導入して1年が経ちましたが、導入前と比較して事故数やリスク運転数に変化はありましたか?
江口様:リスク運転に関しては、導入直後から1年で8割以上は削減できています。事故に関しても、例えば跳ね石のような不可抗力のものや、駐車場に停める際に擦っちゃいましたという運転技術上のものはどうしてもありますが、他車にぶつけましたといった自責の事故というのは減っています。そうした効果を経営にも報告しています。
小平様:RS事業本部でも導入前と導入後で、事故・違反の件数は3分の1まで減りました。ヒヤリハットの前の段階として「リスク運転」が把握できるようになって、事前に個人の運転のクセやリスクを指導できるようになったので、そこは効果があるのかなと思いますね。
また毎月1度の「交通安全会議」で、拠点の傾向値の共有や優秀ドライバーにテーマを決めて発表してもらったりもしています。具体的にこの道路で車間距離が詰まりがちなので気を付けましょう、といったような啓蒙です。事業部長の明確な指示で「交通安全はすべてにおいて最優先するように」と明確な方針でやっています。
日下様:『DRIVE CHART』カスタマーサクセスの担当とも密に連絡を取って、対応の相談をしたり、月に1度のレポートを元に社内でお知らせを掲示したりしています。また『DRIVE CHART』利用者向けカスタマーサイト「DRIVE CHARTナビ」を活用し、リスク運転の多い傾向にある社員にピンポイントで指導内容を動画で分かりやすく伝えることができるようになりました。
ドライバーにも『DRIVE CHART』は「自分の身を守ってくれる」と認知広がる
――その他、効果を感じられる点はございますか。
江口様:当初課題と感じていた運行記録について、圧倒的に自動化された点ですね。管理側もですが、ドライバー側からも「大変楽になった」と相当喜ばれています。特に日々の日報作成が効率的になったことです。車両を共有しても顔認証でデータが切り替わるので、人的作業ミスも抑制されていますし、日報の自動作成機能によっていちいち紙に記入する必要がなくなりました。管理者としても、ペーパーレス化で押印作業や保管場所の削減もでき、業務が効率的に進むようになりました。
あとは事故に遭った瞬間に衝撃検知の通知が来て、そこからの初動がはるかに改善されたので、そのあたりも非常に助かっています。
小平様:1件実例で言うと、右折待ちをしていたら後ろのトラックに追突されてしまって。そこから警報がタイムリーに来て、初動ですぐ現場に連絡ができました。
「遠隔動画取得」で当社の車両がきちんと止まっていたというのがすぐに証明できたので、現場からも保険の事後処理がすごくスムーズにできたと聞きました。「スタッフを守る」という意味で、非が無いことがすぐに証明できて良かった。「『DRIVE CHART』は自分の身を守ってくれるものなんだ」、という認識がスタッフの間でも広がっているように思います。
――導入されて2年目となりますが、今後の目標や展望などはありますでしょうか?
小平様:まさに直近でやっているのは、『DRIVE CHART』閲覧率をどのように上げていこうかというところ。日々、朝礼で周知しているんですが、それでも見ない人は見ないので声掛けして一緒に閲覧したりしています。週1回のサマリーメールも管理者は必ず見ているんですが、これをドライバー1人1人にまで徹底するのが次の課題かなと思っています。
日下様:「褒める文化を」ということで、年間リスク運転ゼロ・事故ゼロのドライバーを対象にした社内表彰制度は来期ぜひ実現したいなと思っています。「セーフティードライバーステッカー」のような記念品なども企画中です。そうして安全運転を継続している人にスポットを当てて、褒める文化の定着を進めていきたいですね。
江口様:使い方次第で、可能性は本当に色々とあると思っています。今年は「DRIVE CHART交通安全運動2024」にも参加させていただきましたが、常に“世の中との対比”をすることが重要だと。“井の中の蛙”にならずに世の中の標準を基準にして、きちんと全社の施策として『DRIVE CHART』の活用を、今後も我々から打ち出していきたいと思っています。