導入事例
2026.08.27
TaKuRoo、「初動の徹底」により『DRIVE CHART』導入半年で事故4割削減、 業務効率化も同時達成した「運用の秘訣」

TaKuRooは、熊本県で最大保有台数のタクシー会社。普通タクシーのほか、ジャンボタクシーやワゴン、マイクロバスなども保有し、観光や送迎などの事業も行っています。
2021年に同県でタクシー事業を展開する10社が合併し、TaKuRooが誕生。「安全第一」「お客様優先」「凡事徹底」の3つの約束を掲げました。心躍る「ココロをドライブする」タクシー会社として、熊本交通圏内外の移動をサポートしています。
しかし2024年に重大事故が発生したことをきっかけに、事故が起きる前の兆候検知と改善に課題意識を覚えるようになりました。3つの約束の中でも「安全第一」は改めて最優先にすべきという判断も重なり、ドライバーのリスク運転が可視化される『DRIVE CHART』を2025年2月に導入開始しました。
データを元に、どの営業所の、どのドライバーに、どのような指導が必要か、を足並み揃えて実施できるという点から、全台での導入を決定しました。導入直後から運用ルールの徹底、現場への浸透促進に力を入れ、導入わずか半年で事故4割削減と短期間で成果をあげることに成功しました。
『DRIVE CHART Award 2025』のタクシー部門においてはリスク運転数が少ない上位10社の「DRIVE CHART STARS」に選出され、導入間もない中で成果を挙げている企業として見事「新人王」に輝いています。
このたび行われた『DRIVE CHART STARS 講演会2025』では、活用方法・成果の出し方を「早期事故削減の舞台裏」として、同社 営業企画部 部長の竪山 裕史さんにご講演いただきました。
会社名 株式会社TaKuRoo
業種 一般乗用旅客自動車運送事業、一般貸切旅客自動車運送事業、一般乗合旅客自動車運送事業など
保有車両数 約245台
導入時期 2025年2月
導入目的・課題
・重大事故発生をきっかけに、事故の予兆検知と改善を強化する方針に
・SDカードの抜き出し確認では難しい、タイムリーかつ効率的な検知が急務に
・データを元に全社で足並みをそろえて改善指導できる点から全台導入を決定
導入後の取り組み
・社長や幹部を巻き込み「安全意識改革の動機付け」を行う
・全社平等な「運用ルールの整備」
・目標と進捗を可視化し褒める声掛けで「現場への浸透促進」
導入効果
・重点目標とした一時不停止は半年で70%削減
・導入わずか半年で事故4割減、任意保険料の削減も
・乗務員同士の連帯感が生み出され、管理側も工数削減
「安全第一」を最優先に、後手に回らない未然防止体制の構築を決断
竪山様 『DRIVE CHART』導入の背景は、2024年に重大事故が発生してしまったことです。当時、安全管理において2つの課題を抱えていました。
1点目は、事故後の動画確認で後手の対応がメインになっていたことです。ドライブレコーダーのSDカードを事故後に抜き出して動画を確認していましたが、乗務員への指導までタイムラグが発生し、原因の追求や教育が困難な状況となっていました。現場からも、予兆の共有・分析・対処が不十分だったとの声があがっています。
2点目は、予防策として取っていた、SDカードの確認です。ランダムで車両を選び、動画を確認していましたが、どの車両をどこまで確認するか?などのルールがあいまいで、チェックにも非常に多くの工数がかかっていました。結果、事故を減らしたい気持ちがありながら、事故が減らないという結果に陥ってしまいます。
そのような中で起きてしまった2024年の事故をきっかけに、経営陣が大きな決断を行いました。創業時から掲げてきた3つの約束の中の「安全第一」を最優先に、予兆をAIで的確に検知し、後手にまわらない未然防止する体制を構築しようと『DRIVE CHART』の導入を決めたのです。
私自身もAIドラレコの動向は注視していましたが、急ハンドルや急減速が見える化しアラートが出たり、動画が記録され周辺データの解析も同時に行えたりするものは『DRIVE CHART』以外に無いと感じていました。
AIがどれだけの精度で検知をしてくれるのか、導入してみないと分からないと思っていましたが、他社事例などを見るとその点も問題として捉えられていることは無さそうでした。『DRIVE CHART』のデータを元に、全社平等に足並みを揃えて最大限効果を出すために、全台に導入を行う決断を行いました。
事務局の「初動の徹底」が、乗務員同士の「相互作用」や「連帯感」に
『DRIVE CHART』導入にあたって、事務局としては「初動の徹底」として3つのポイントに分けて対応しました。まずは「動機づけ」をすること。その後会社としてどうやるか?という「ルールの整備」。そしてルールが周知できたら、そのあとに「浸透促進」を図るということを考えました。
POINT1「安全意識の改革の動機付け」として、まずは社内幹部も巻き込んだプロジェクトを発足しました。この社内幹部とは、実務的な幹部――乗務員ではない運行管理者や、『DRIVE CHART』を管理する整備責任者などです。現場への説明をする前に、幹部を巻き込んで『DRIVE CHART』の理解を深めてもらい、同じ熱量で事故削減に取り組めるよう事前準備を行いました。
その後の運行開始時には事務局が先頭に立ち、各営業所長と運行管理者に説明を実施し、導入目的と運用ルールの浸透を徹底します。必ず社長にも同席してもらい、導入背景、プロジェクトの重要性、重大事故が起きたという事実をもとに、強い思いを込めていると理解を促しました。
「監視ツールではないか?」という懸念の声も時折あがりましたが、あくまで「事故防止ツール」であることを細かく説明していきます。動画がアップされるのはリスク運転検知時のみであること、さらに遠隔動画取得機能は運行管理者にとっても利便性が高いことなどを、納得感を得られるように周知していきました。
POINT2「運用ルールの整備」では、『DRIVE CHART』カスタマーサクセス担当者とも相談し、5つの営業所で別々の基準を作るのではなく、1社で基準を一本化することを試みました。具体的には「ログイン頻度」や「重点項目」、そして「声かけの基準」もあらかじめ整備していきます。
まず本部に試験導入し、その後事故のあった営業所、その他の営業所と順次導入を行い、各営業所に丁寧に関わっていきました。まずは管理者が毎日ログインすること。乗務員に接する管理者がまずは『DRIVE CHART』のことを理解することが大切だと考えました。重点項目としては、タクシー業界で多い傾向にある「一時不停止」に注力することに決めています。
タクシーは夜勤やシフト制で、なかなか会えない乗務員もいます。そのため夜勤の管理者や、遠隔点呼・声かけの際にも必ず『DRIVE CHART』の話題を入れてもらい、乗務員ごとの抜け漏れが無いようにしました。
そのようなルールが浸透したら、乗務員自身も能動的に自身の運転データを確認し、結果を把握できるように「週1回のログイン」をルール化しました。乗務員の内心の動機――「安全に運転したい」「事故を起こしたくない」という思いを育んで、個々の会社スマホに『DRIVE CHART』ログイン用のQRコードを掲出し個人がログインできるようにしています。
POINT3「現場への浸透促進」として、ルールが整備された後は「目標と進捗の可視化」を徹底して行いました。『DRIVE CHART』では、週次サマリーレポートや、月次レポートが管理画面から取得できます。各目標進捗を営業所の目立つところに掲示し、管理者・乗務員ともに閲覧できる状態にしました。会社として、全営業所の競争を促す狙いもあります。
心がけたのは、「良い点」「良い人」にフォーカスすることです。私自身もポジティブなメッセージを積極的に共有し、声掛けを行いました。ある程度成果が出てきたら、今度はタクシー業界の水準や、『DRIVE CHART』導入企業内でのトップの水準を目標に落とし込み、さらに「DRIVE CHART Award」というイベントでさらに盛り上げていこうと「サブゴール」を変えながら取り組んでいきました。
改善が進んでいくと、個々の営業所の進捗にも差が出てきます。事務局も5つの営業所を個々に赴き、現場の特性を理解し、現場が納得するまでじっくりコミュニケーションを取りました。そうすることで、各営業所の長所が見えてきます。その長所を他の営業所へ伝達するなどし、全体の底上げを図っていきました。
また、最近の施策として「KYT動画」に『DRIVE CHART』の動画を活用し、危険余地訓練に役立てています。月に1度、「安全教育」の場がありますが、そこで先月の事故動画・リスク運転動画を流します。動画に加工は加えず、工数もかかりません。同僚の動画ということで、教育としては最大の効果を得られており、事故削減にもつながっています。
さらに、当社には貸切や大型の車両を運転できるようになる「プレミアムドライバー制度」がありますが、この試験にエントリーするにあたり「『DRIVE CHART』のリスク運転数が業界平均以下であること」を条件に組み込みました。以前は営業所からの推薦制でしたが、現在では、安全運転がキャリアアップに直結する強力なモチベーションになっています。
このPOINT1~3を初動で徹底できたために、事務局が頑張らなくとも「乗務員同士の相互作用」が生まれるようになりました。例えば点呼時、管理者に指示されなくとも乗務員が自発的に情報共有を行う流れができています。無関心層が周囲につられて関心を持ったり、良いスコアを共有したり、営業所単位での連帯感が生まれたりと良い循環が生まれてきました。
事故4割減・任意保険料の削減効果に加え、顧客満足度向上にも寄与
タクシー業界は一時不停止が多いと言われており、実際に『DRIVE CHART』導入直後の当社の一時不停止件数も驚いてしまうほどでしたが、導入半年で70%を削減することができました。現在では月間のリスク運転が0件という乗務員も、複数名あらわれてきています。
こうして重要なリスク運転をひとつひとつ削減できたことで、事故件数も4割削減できました。運行管理者から「事故の事後対応がこれほど減るのか」と驚きの声を聞くこともあります。この事故削減が、先日更新月を迎えた任意保険料の削減にもつながりました。
さらに副次的ですが、運転マナー・顧客満足度の向上にも効果があると考えます。例えば乗客からのクレームがあった際も、『DRIVE CHART』の遠隔動画取得機能で、乗務員の状況や接客態度を確認することができ、適切なフィードバックが可能になりました。
『DRIVE CHART』の本質を事務局が理解し、現場を変える第一歩につながると自信を持つ
このように「DRIVE CHART STARS」を受賞できるような成果を出せました。振り返ると、重要だったのは『DRIVE CHART』の本質を事務局が理解し、またそれが、現場を変える第一歩につながると自信を持つことだと思います。
『DRIVE CHART』は機能が多いので、まずはそれを知る・学ぶこと。そのうえで社内に中心メンバーを組成し仲間を増やしていき、活用方法を明確にしたうえで現場に徹底的に落とし込むことが重要です。
週次・月次レポートを社内に発信し続けることも大事です。現状を見せ続け、根強く現場へ伝え続けること。現場に出向いて、評判を聞くことが励みになることもあります。
そして良い結果が出た乗務員を褒めてあげるということが何よりも大切。プライドの高いベテラン乗務員もいますが、どこかでスコアが上がったり、リスク運転が減ったりしたタイミングで褒める声掛けをすると、態度が前向きに変わることもあります。
そういった周囲のポジティブな変化につられて好循環が生まれる――そのポジティブな循環が生まれれば、結果として大幅な業務効率化・工数削減につながります。
当社も、初動は相当な時間をかけて「何よりも事故を減らしたい」と設計・運用に注力しました。『DRIVE CHART』の機能を理解することで活用が進み、成果につながり、それを続けることで工数自体が減ってきました。事務局の初動工数は、どこかで管理者の工数削減につながります。より深く理解し、続けることが何よりも大切だと思います。