導入事例

2022.03.24

送迎バス向け運転手派遣サービス・みつばコミュニティ、DRIVE CHARTリリース直後に試験導入——事故削減効果を認め、全車両への導入に進む

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 ソシオークグループのみつばコミュニティは、マイクロバスによる送迎サービス運営をワンストップで提供する企業です。

 全国各地の幼稚園や保育園、スイミング教室、病院、介護施設、教習所、一般企業といったお客さまの運行業務を請け負い、運行業務を実施します。ドライバーの労務管理や、バスの運行管理などの業務も一手に引き受けます。万が一の事故対応や保険手続きも、みつばコミュニティの仕事です。そのため、お客さまは最小限の負荷で送迎バスを運行できます。

 マイクロバスを運転するドライバーには、多くの人を安全に運ぶ重大な責任があります。当然、みつばコミュニティは以前からさまざまな交通安全対策を講じてきました。ドライバー向けの小まめな研修やサポートにとどまらず、交通安全にかかわるISO規格を取得するなど、その安全意識の高さは秀でています。

 そんなみつばコミュニティは、当時発表されたばかりだったAIドラレコ「DRIVE CHART」をいち早く導入した企業です。これは、交通事故をゼロにしよう、お客さまの安全を確保しようという強い姿勢の表れなのでしょう。

 なぜリリース間もないDRIVE CHARTに注目し、素早く導入できたのか。みつばコミュニティの道路交通安全(RTS)をつかさどる要といえる、RTS推進グループのリーダー、多久皓平さんに経緯などを伺いました。

会社名 株式会社みつばコミュニティ
業種 マイクロバスによる送迎サービスの業務受託
保有車両数 950台
DRIVE CHART導入台数 950台(今後取付予定の台数含む)
導入時期 2020年12月
導入理由 AIによる画像解析が可能なDRIVE CHARTがリリースされたと知り、交通事故ゼロへの効率的なアプローチ手段になるのでは、と早期に検討を開始。試験的な導入期間中に事故削減効果が得られ、全面的な導入へとつながった。

以前から専門チームを設け、充実させていた交通安全対策


——DRIVE CHARTを導入する前から、手厚い交通安全対策をとっていたようですね。

多久 独自の研修プログラムを構築して、「サービスクルー(SC)」と呼ぶドライバーの教育や研修を実施しています。その教育や研修の実施、事故分析、事故防止方針の策定などを専門的に行っているのが、私の所属しているRTS推進課です。

——具体的には、どんな研修を行うのですか。

多久様 初めて派遣するドライバーの指導や補習、3カ月乗務したドライバーの対面研修、毎年夏にドライバーを集めて行う全体研修など、さまざまな機会を捉え、教育のほか役立つ情報や直近の事故事例を共有しています。無事故無違反や日々の改善活動も、そうした機会に表彰します。

 現場教育ということでは、運行管理アドバイザーを業務中に同乗させ、運転技能だけでなく、勤務態度やマナーにも目を光らせます。事故を起こしてしまった際や、お客さまからご指摘をいただいたときにも、運行管理アドバイザーやインストラクターが個別にチェックして、再発防止に努めます。

——研修のほかに、ドライバーへの働きかけはありますか。

多久様 その週に発生した事故の内容や雨天運行の注意点を週間メールとして配信し、いつでも確認できるようにしています。定期的に発行している社内報の「M-club」も、交通安全に関する情報の共有ツールです。

 DX時代の新しい取り組みとしては、「みつばコミュニティ・事故防止の魂WEB」というYouTubeチャンネルを開設しました。基本的にはドライバー教育が目的で、ヒヤリハット事例や後退ルールなどの動画を公開しています。繰り返し視聴できますし、百聞は一見に如かずということで、事故を未然に防ぐのに何ができるのか、ということを考えるきっかけになると思います。

 YouTubeチャンネルを開設したもう1つの目的には、持続可能な開発目標(SDGs)達成もあります。こちらの動画で交通事故の撲滅に近づき、SDGsのうち「(3)すべての人に健康と福祉を」「(8)働きがいも経済成長も」「(11)住み続けられるまちづくりを」などの取り組みに貢献できると考えました。

 従来、こうした動画は組織内でのみ共有することが一般的です。私たちは、あえて外部にも公開し、他社のドライバーや安全管理者の方々にも参考にしていただくことで、社会に貢献していきたいと考えています。

——実際のヒヤリハット動画を見たときには驚きました。ここまで公開しているところは、ほかにないのでは。

多久様 私の知る限り珍しい存在です。ドライバーの方々も良い意味で楽しみにしてくれていて、毎週金曜昼に予定されている更新から1時間でも遅れると、「今日はまだですか」などと言われてしまいます。真剣に考えているドライバーは多く、来週も頑張ろうと思ってくれるようです。

——もう1つ、ISOも取得されていましたね。

多久様 はい、道路交通安全マネジメントシステムの規格である「ISO39001」認証を取得しています。交通事故減少を目指す管理システムや教育体制の構築などに関する国際規格で、2012年10月に発行されたものです。

 みつばコミュニティは、2013年に取得しました。交通安全に対する意識は極めて高く、安全教育も日頃から口うるさく行っている会社なので、その方向を推し進めた結果ですね。

 ISO認証を維持するには毎年厳しい監査を受ける必要があり、大変ではあります。ただ、監査を通じて改善を重ねられますし、数値目標をきちんとチェックできます。交通安全に対する自信を、お客さまなど外部に示せるメリットも大きいです。

代表が自らDRIVE CHART導入検討を指示


——DRIVE CHARTを選んだ理由などをお聞かせください。

多久様 DRIVE CHARTの提供開始は2019年6月だったそうですが、その直後に、私どもの代表から検討するよう指示された、と当時の担当者が話しています。

 ドライブレコーダーは以前から使っていたものの、映像を録画する以外の機能は加速度センサー程度でした。それが、DRIVE CHARTはAIによる画像解析が可能と知り、興味を持ったようです。交通事故を未然に防ぐため、より効率的なアプローチが可能なのでは、と考えたわけです。

——導入に対して、ドライバーから反発はありませんでしたか。

多久様 反発どころか、ぜひ装着してほしい、という声が大多数です。反発は少数でした。

 というのも、ドライバーの運転するマイクロバスはお客さまに用意していただいている車両、という事情があります。これまでドライブレコーダー装着はお客さま主導で行っていて、全車に取りつける、という状況ではありませんでした。ドライバーとしては不安ですよね。

 それが、DRIVE CHARTの導入コストを私どもが負担することになり、ドライバーとしても、お客さまとしても、歓迎する話だったのです。

——マイクロバスへのDRIVE CHART導入は、こちらが初めての事例だと聞きました。

多久様 そのようですね。そのため、MoTさんと実証実験しながら二人三脚でブラッシュアップしつつ、一緒に開発してきたような感じです。検証するうちに「これなら行けそう」という感触が得られ、徐々に導入していきました。

——まさに共同開発ですね。どのような検証を行ったのでしょうか。

多久様 30台ほどのマイクロバスに入れ、まず車内のようすをきちんと映せることを確認しました。それ以外では、脇見や一時停止無視などのリスク運転をきちんと検出できるか確認をしました。また急制動の閾値を幾つか変更して映像を確認することで、当社にフィットする検出閾値を確認しました。

——かなり手間のかかりそうな作業ですね。

多久様 いえ、こちらは何もしていません。センサー調整のような設定変更は、無線アップデートで済んでしまい、必要な作業はありませんでした。

 こうして3カ月ほどで得られたデータを検証したところ、この段階ですでに事故が実際に減っていました。そこで、2020年12月のDRIVE CHART設置開始や、2021年5月の全車両への導入決定という発表に至った流れです。

コミュニケーション円滑化で指導しやすくなり、リスク運転も激減


——DRIVE CHARTリリース直後から導入し始めたわけですが、現時点でどのように活用されていますか。

多久様 今のところ、サマリーレポートや映像のチェックはRTS推進課の仕事です。得られる情報が豊富なので、RTS推進課が整理してドライバーに発信し、伝え、くみ取ってもらう形ですね。その過程で気になるリスク運転があれば、ドライバーに指導することもあります。

 もちろん、積極的に自分でレポートを見て、改善につなげているドライバーも少なくありません。

——取り組みの成果は得られましたか。

多久様 はい、リスク運転レポートのデータを参考に先回りしてドライバーを指導できるようになって、事故防止につながっています。実際に事故を減らせました。

 また、全国各地にドライバーを派遣するという事業内容なので、運転のようすを確認するのに今までは遠く離れた派遣先へ行かなければなりません。その移動がDRIVE CHART導入で省け、タイムリーかつ高頻度な確認・教育プロセスが組めました。

 リスク運転のレポートや映像も、客観的なデータを伝えることになり、指導しやすさにつながっています。ドライバーとのコミュニケーションが円滑になりました。

 指導以前の段階では、リスク運転レポートから一時不停止と速度超過、車間距離保持不足の3つに絞って注意喚起メールを送るなどしています。これによって、当初多かったリスク運転が激減する、という成果が得られました。

 逆に、リスク運転が検出されない人をピックアップして知らせる、ということも始めました。安全運転できているドライバーに感謝を伝える意味と、DRIVE CHARTの存在を忘れないようにする意図もあります。「このままの運転を続けていってください」とメールで伝えるなどして、1週間で500人がリスク運転ゼロといった状態にできています。

——導入後に研修制度は変えましたか。

多久様 DRIVE CHARTで記録した映像は、事故後研修でよく使っています。事故そのものの映像でなくても、一時停止無視の映像を見せて理解してもらったり、リスク運転が検知されることを伝えたりして、事故につながる潜在的な問題をどう改善したらよいか、という指導ができるようになりました。

 ヒヤリハットのデータと映像もありがたいです。ヒヤリハット事例の収集はこれまでドライバーの報告頼りだったのですが、DRIVE CHARTでは自動取得できて助かっています。ヒヤリハットの映像を研修やYouTubeチャンネルで見せると、納得感や自分ごと感が高まりますね。

 そのほか、ドライバーへの週間メールにリスク運転レポートへのリンクを設けました。みなさん興味を持ってくれているので、こちら経由でアクセスするドライバーもいます。

 あと目立った成果といえば、ISOで設定した事故削減目標をクリアできそうなことです。本格導入した夏ごろから事故が激減していて、目標達成どころか、目標は今や単なる通過点になっています。私の経験では、ここまで順調に目標をクリアできるのは初めてです。

 DRIVE CHARTで急後退を検知できるようになった効果が大きいと思います。

今後は、セルフチェックとスコア活用へ進む


——これからどんな活用を考えていらっしゃいますか。

多久様 最大の課題はセルフチェックです。本来DRIVE CHARTは、ドライバーが自分でリスク運転レポートを確認し、自ら運転を見直して事故ゼロを目指すツールである、と思います。しかし、現時点ではそこまでできていません。セルフチェックするよう、これから取り組む必要があります。

 ただ、DRIVE CHARTの導入はしつこく周知してきたので、認知はされています。リスク運転レポートもできるだけ見てもらうため、携帯で勤怠情報を入力したついでに確認する癖がつくよう、DRIVE CHARTアプリを入れる取り組みも始めました。レポートで自分の運転を振り返る、という文化を根付かせようとしています。

 そうしていると、ログインする人や毎日レポートを見て楽しむ人も出てきました。リスク運転ゼロの人も、自分のスコアが気になっています。興味深いことに、この種のドライバーは事故を起こさないのですね。

——ほかに計画はありますか。

多久様 今後は、一歩進んでスコアに注目していきます。

 たとえば、5年間事故ゼロのドライバーと、事故が多いドライバーの数値を比較すると、運転傾向の違いがみえてきました。特に、急減速や車間距離保持不足が、事故件数と相関していそうです。こうした情報を精査し、指導していきます。

 とにかく、導入台数は増えましたが、セルフチェックやスコア活用が不十分です。本格的に活用し切れていませんし、まだまだ使いこなしていません。この段階へと進んだうえで、さらに何ができるのか考えていきます。

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