導入事例

2022.09.13

【セミナーレポート】約2割の事故削減に成功したみつばコミュニティ。少人数のチームで成果を出し続ける、ドライバー向け施策とは?

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 社有車の交通事故削減を実現するためには、どんな施策が効果的なのでしょうか。

 2022年8月に行われた「次世代AIドラレコ活用事例共有セミナー」。ディスカッションパートではDRIVE CHARTの運用を担当するみつばコミュニティ・RTS推進Teamリーダーの多久皓平さん、Mobility Technologies ドライブチャート事業から営業部門責任者 茂木雄一郎、カスタマーサクセス 宮石勇馬が登壇し、みつばコミュニティの事故削減に効果的だった施策事例について詳しくお話ししました。

 本記事では、当日のセミナーの内容を再構成してご紹介します。

「リスク運転」も1/3に減少。なぜここまでの成果が出たのか

 みつばコミュニティでは、幼稚園・保育園や学校、病院、企業など、さまざまな送迎バスの運行管理業務を行っています。お客さまから車両を預かり、車両管理からドライバーの手配までワンストップで担うのが特徴。請け負うエリアも全国に及びます。

 同社では、2020年度よりDRIVE CHARTを導入。その結果、事故件数が2019年度(導入前)から21%削減しました。翌2021年度も、2019年度との比較で16%削減となっています。

 また、車両台数あたりの事故件数も削減に成功。2019年度の0.44に対し、2020年度は0.34、2021年度は0.32と減少しています。

 DRIVE CHARTの導入により、なぜここまでの成果が出たのでしょうか。もちろん、みつばコミュニティではそれまでも事故防止の対策を講じてきました。しかし、従来の対策とDRIVE CHARTではさまざまな違いがあると、運用を担当してきた多久さんは語ります。

「導入前はアナログの研修が中心でしたが、DRIVE CHARTを導入してからはデジタルの力が加わったことが一番大きな違いだと思います」

 DRIVE CHARTでは、これまでドライバーが気づかなかった軽度のリスク運転、たとえば一時不停止や車間距離不足、脇見、制限速度超過などを検知し、タイムリーにドライバーへ伝えます。

 MoTからは「事故やそれにつながるような重度のリスク運転行動の背景には、軽度のリスク行動があります。DRIVE CHARTがそれを検知することで事故削減につながると考えています」(宮石)と説明いたしました。

 みつばコミュニティでも、DRIVE CHARTによって日々ドライバーのリスク運転が検知されています。そこで直近1年間の同社のリスク運転数を見ると、2021年6月から2022年5月にかけて1/3程度に減少していることがわかります。これらが先述した事故削減につながっているのは明らかでしょう。

 多久さんは、こういった結果について、リスク運転をした際にDRIVE CHARTがタイムリーにドライバーに通知する機能が役立っていると話します。

「従来のドライブレコーダーは、リスク運転をしてもすぐ伝えることができず、ドライバー本人はなかなか気付きにくかったといえます。現在は、たとえば脇見運転をすると即座にドライバーへ警報を発報するなど、自分の運転に対する気づきや改善につながりやすいですね」

事故削減につながった「メール施策」とは

 みつばコミュニティでは、単にDRIVE CHARTを導入するだけでなく、その機能をもとにいくつかの施策を行ってきました。それが事故削減につながったといえます。

 では、どのような施策を行ったのでしょうか。

「DRIVE CHARTを運用し始めると、優秀なドライバーは全体の約4割で、残り6割は1週間以内に何かしらのリスク運転をしていました。このドライバーたちが、どのような運転シーン、リスク運転から事故を起こしているのか分析したところ、一時不停止、速度超過、車間距離不足の3つが改善すべき重点項目だということがわかってきました」(多久さん)

 これと、独自に設定した急減速、車間距離不足のスコア条件を掛け合わせ、条件に達したドライバーにはSMSやメール送信で注意喚起を促す運用をしています。一方で、優秀なドライバーには「賞賛のコメントを送るようにしました」。

 この施策を聞いて、MoTからは「リスク運転だけでなく、安全な運転をしている方も可視化されるのは大きなポイントではないでしょうか」(茂木)と説明いたしました。

 このメール運用を開始したのは2021年9月。それ以降、リスク運転の重点項目(一次不停止、速度超過、車間距離不足)については、いずれも減少傾向にあるようです。特に一次不停止については当初から大幅に減少しました。

 なお、DRIVE CHARTではリスク運転が発生した箇所を映像とともに振り返ることが可能です。映像とセットでドライバーが確認できるメリットを、MoTからはこう説明いたしました。

「特に一時不停止などは、ドライバー自身が止まっていると思い込んでいて、実際は十分に停止していないこともあります。こういったとき、(証明となる)映像が有るか無いかでドライバーの納得感が違うのではないでしょうか」(茂木)

 みつばコミュニティでも、映像と一緒にドライバーへアドバイスするケースも多い様子。ドライバーは自分の運転に自信を持っているからこそ、言葉だけで「一時停止していませんでしたよね」と忠告しても納得してくれないこともあります。そこに「動画を合わせることで腹落ちしてくれます」と話します。

DRIVE CHARTで生まれた3つの効果。大きかった25%のコスト削減

 DRIVE CHARTの導入や事故削減により、おもに3つの効果が得られました。

 1つ目の効果は「運用工数削減」です。事故やトラブルが起きた時、従来は現地に行き、ドライブレコーダーからSDカードを回収して確認する必要がありました。しかし現在は「現地に行かず、クラウド上の動画を遠隔から見れる」とのこと。こういった工数削減は大きなメリットのようです。

 2つ目の効果は、車両の修繕費をはじめとした「コスト削減」です。多久さんはその意味をこう説明します。

「昨年度対比で約25%のコストダウンが実現しました。事故が減って修繕費がダウンしたのに加え、運転手の意識が変わったことで、大事故になりかねないものが軽微な事故で済んでいる面もあると感じています。その分、修繕費は少なくなっています」

 さらに、3つ目の効果として「従業員の退職抑止」にもなっているとのこと。従業員が事故を起こし、ショックで退職してしまうケースが減ったようです。

 これらが、セミナーで発表されたみつばコミュニティの活用事例です。なお、当日の質疑応答時間では、事故原因として多い「漫然運転(不注意)」の対策について質問が寄せられました。

 具体的には、漫然運転は事故につながりやすいものの、リスク運転として検知されにくいので社としてどんな対策をしているのか、というものです。

 多久さんは「漫然運転をしている方は、運転中に意識が別のことへ行っている方が多いと思います。それに対し、日々DRIVE CHARTで『こういった運転に気をつけてください』と気づきを与えることで、運転への意識が変わり、注意不足も減っていくのではないでしょうか」と答えました。

 また、MoTからは「漫然運転が原因となって、車間距離が縮まる、一時停止を見過ごすといったリスク運転が生まれます。であれば、これらのリスク運転を検知することで、漫然運転自体をカバーできると言えます」(宮石)と付け加えました。

 みつばコミュニティでは、今後、事故とドライバーの運転挙動の因果関係を細かく分析し、どんな対策で事故を減らせるか検討していくとのこと。さらなる事故減少に向けて、DRIVE CHARTを使った取り組みは続きます。

・世の中の事故を減らす「SDGs3.6プロジェクト」/Mobility Technologies

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